伊是名報告(2) お伽話のようなトラアスロン

今回はバイク、ランに参加できなかったため、伊是名大会を味わい尽くすことはできなかったが、それでもこの大会ならではの魅力を強く感じることができた。不十分ながらも私なりの伊是名報告である。
伊是名大会の魅力は次のような言葉によって、よく語られている。
・海がきれい
・島の人が総参加で手伝ってその交流が楽しい
・毎年参加するリピーターが多い
これらは確かに伊是名大会の特徴をとらえたものではあるが、これらは魅力の部分であり、全体の魅力を語るにはちょっと言葉が足りないように思える。
「お伽話のようなトライアスロン」。これが私の感じた伊是名大会だ。

大会の開催された伊是名島は沖縄本島からフェリーで約1時間、面積14.16平方キロ。伊是名村のホームページによると、村の人口は785戸1592人、「統計によると、伊是名村の1世帯あたりの子供の数は日本一。少子化が進む現代にあって7人兄弟という家もあり、3人兄弟、4人兄弟は普通。子供は島の宝なのだ。」とある。なお、伊是名島にははぶはいない。
伊是名島は南の海の自然と子宝に恵まれた安らかな小宇宙なのだ。そこで開催されるトライアスロン大会は今年で23回を数える。人間にすれば既に成人を越えている。伊是名という小宇宙で2000人に満たない人々に育てられてきたトライアスロン大会、それが伊是名トライアスロンである。
コースは自慢の海を満喫する2キロのスイム。島の外周をぐるりとめぐる88キロのバイク、島の古民家やさとうきび畑を抜け、まさに子どもからお年寄りまで、村民総出の応援をまじかに受ける20キロのラン。伊是名のコースはこの小宇宙を満喫すべく設定されている。
大会運営は(応援も含めて)村民総出で、特に中学生がエイドステーションなど、重要な役割を担っている。ちなみに伊是名島は中学までで、高校から本島に行くことになる。
伊是名大会は外界から切り離された固有な風土のなかで、島の人と自然の総体で作り上げられたもので、この形は伊是名以外には考えられない。
ホノルル大会は国際観光地の大型国際大会である。ロタ大会はリゾートツアー大会である。そして伊是名は、伊是名という南の島の小宇宙での、ここにしかない、お伽話のような大会なのである。

フェリーから眺める島が近づいてくる。ここからお伽話は始まる。港では島の子ども達が島歌を歌い踊って迎えてくれる。
私の宿泊は民家。名嘉猛(なか たけし)さんのお宅に男性5名、女性1名の宿泊となった。民家とはいえ、鉄筋二階建て、水洗洗面、シャワーと水まわりも快適だ。主の名嘉さんは、地元漁協で営業の担当だそうで、海産品のセールスに東京、日本全国、中国を飛び回っている。
その名嘉さんが港に出迎え、ピックアップトラックの荷台に乗って名嘉さん宅へと向かう。これで自然にお伽の世界に入り込む。着いたのは午後4時ごろで、大会本部の体育館に集められたバイクを組み立てると、もう夕食。お母さんと近所の親戚の方の応援で食事の世話をいただき、沖縄料理を楽しむ。名嘉さんも泡盛をもって参加で、地元の話を伺う。
翌日は朝からコースに出て、スイムの試泳、バイクコースを1周し、ランのコースもバイクでめぐる。これで島全体の様子をつかむことになる。
2日目の夜はBBQ大会で、親戚の方も加わり、三線、沖縄民謡で大いに盛り上がり、海岸に出る。潮風、潮騒のなか、仰向けに寝て、ほろ酔いで満天の星を眺めた。私がこの大会はお伽噺の大会との想いに至ったのはこの時だ。

翌日の大会はさておき、村の体育館でのアフターパーティも伊是名の大きな魅力だ。島の食事にビール、泡盛が食べ放題、呑み放題。表彰式のあとはステージで、地元の人々の「トライアスロン音頭」と太鼓の披露で盛り上がる。さらに地元バンド、地元中学生のAKBダンスを楽しみ、最後は本島からのプロのバンドが入り、参加者達もステージに乗り上げ、一大クラブ状態となった。
しかも大汗かいて踊っているのは参加者だけではない、なんと地元のおじいさんから小学生までもが一緒に踊っている。これだけ酒は入ったうえで、子どもから老人まで、日本人と外国人のミックスでの和気藹々のクラブ状態というのは、なかなかないのではないか。まさにお伽噺の祭りの世界に酩酊。ほぼ10時に会場をあとにし、家に戻り、さらに三線でもりあがり、床についたのは1時を回っていた。
お伽話の仕上げは港でのお別れ、トライアスロン音頭と、島歌と口笛が鳴り響くなか、テープを投げての出港となる。伊是名では「また来てください」ではなく「帰ってきてください」と言葉を交わす。

夏の宵 おとぎの国に 酩酊す
潮風に 満天の星 宇宙の波

大会の参加者は600名。
以前は人数を増やしたこともあったが、島として対応できず、いまはこの数に制限しているという。この大会の本質を示すエピソードだと深く感じる。
改めて、伊是名大会は、他に例をみない、素敵な、お伽噺のような、大会だった。

この記事へのコメント

Yoko
2011年10月18日 12:41
岩崎さん、すてきな伊是名報告です!まさにその通り、参加者みんなの気持ちを雄弁に語ってくださっています!こうなったら来年も行きますかね~
ひろしです
2011年10月18日 13:49
お褒めいただき、ありがとう。いまは伊是名を目標におくつもりです。

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